夢籠ゆめかご


鳥になりたかった
鷲になって 空を飛びたかったわけじゃない
金糸雀カナリアになって 飼われていたかっただけ

銀の籠の中に 私の綺麗な羽根が映えるの
木漏れ日の差す庭で 私は蝶や花の歌を歌うの
大好きな人が私の籠を守りながら 美しいさえずりに耳を澄ませるの

広い世界なんか見ないで 
目に入る柔らかい景色だけを愛して
いつか 穏やかな終焉の時を迎えるのよ


鳥になりたかった
鷲の自由なんか要らないから
金糸雀の不自由が欲しかった

これ以上 雨ざらしにはなりたくないの
もう休んだっていいでしょう
雨のない籠の中で暮らしたっていいでしょう

私を臆病だと笑うのなら
月の嵐の中を歩いてみせて
沈まない太陽が生む 永遠の日だまりを乞わずに


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